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2009年2月21日 (土)

塚本邦雄の青春

 まだパラ見ですが、塚本邦雄という存在が気になっている人にはぜひ読んでいただきたい本なので紹介させていただきます。

・『塚本邦雄の青春』(楠見朋彦/ウェッジ文庫)
   http://www.amazon.co.jp/dp/4863100418

 京都新聞に連載されていた「母のくに 塚本邦雄の近江」を加筆したもの。
 『水葬物語』以前の足跡をたどるという、不可能と思われる作業に挑戦しています。これまでも少しは紹介されていた「短歌研究」投稿欄や「青樫」「木槿」「くれなゐ」といった参加していた歌誌、勤務先文芸部の機関紙「またいち」などの文献に可能なかぎりあたっています。それに加えて、塚本自身の著作から『水葬物語』以前の記述をたんねんに掘り起こしています。塚本なので矛盾もある訳です。各章は短く簡素にまとまっていますが、それらを整理してこのかたちにまとめることのなんと大変なことか。

 あとがきに「虚実皮膜というが、そのうす皮一枚は、実人生と虚構の作品世界をへだてているのではない。」「お互いに向こうを透かし見る、その往復運動においてこそ、塚本邦雄が一生を賭した文芸が呼吸できるのではないだろうか。」とあります。
 作品を読む、歌人を理解するということは字義をたどるのももちろん重要だと思います。こういうことを書くのは危険なのですが、ある時代のある場所で生きた歌人の「呼吸」を理解しないことには読みは明後日の方向へむかうことになると思います。「呼吸」だけではよりよい読みはできないし、字義だけでもたどりつけません。

 現在、塚本邦雄が理解されているとは言いがたい状況のなかで、読みの虚実のバランスをとるために重要な1冊になると思います。

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