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2014年7月 1日 (火)

「BL短歌の一考察」について

 「短歌人」7月号掲載の村田馨さんの「BL短歌の一考察」という文章があります。

 短歌人では「評論・エッセイ賞」という社内の賞を設けています。前年掲載された評論・エッセイと投稿評論が選考対象です。投稿評論にはテーマがあり、2014年は「相聞歌の射程」でした。

 「BL短歌の一考察」は佳作で7月号に掲載されています。この文章に「黄昏詞華館」「カラン卿の短歌魔宮」についての誤記もしくは誤認識もしくは誤解される書き方があるように私には思われました。twitterでつぶやいてみましたが、読みづらいのでこちらでもまとめておきます。

■p.50の「黄昏詩歌館」について

 「黄昏詩歌館」は「黄昏詞華館」のまちがいと思われます。
 また、この書き方だと「詩歌コーナー」のことを指しているのか「詩歌の投稿コーナー」を指しているのかわかりません。すぐ後に選者とあるから投稿欄のことと推察されますが、そうであるのならば「黄昏詞華館入門」が適切です。

 「黄昏詞華館」に投稿上位作も掲載はされてましたが、投稿募集されていたのはあくまでも「黄昏詞華館入門」です。「入門つけなくてもわかるだろう」ということで省略されたのかもしれません。誌面上「黄昏詞華館」と「黄昏詞華館入門」は扱いがぜんぜんちがうので、一応申し添えます。

(参考)とりあえず出てきた「小説JUNE」1986年8月号目次写真。p.170の「黄昏詞華館」とp. 245の「JUNETOPIA」内にある「黄昏詞華館入門」とで字の大きさがまったくちがうことがおわかりいただけるでしょうか。
 
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 藤原さんが編集人の雑誌でこういうまちがいはかなしい。
 

■p.50~p.51「カラン卿の短歌魔宮」について

 黒瀬珂瀾さんがかつて読売新聞夕刊で2004年から2006年にかけて連載していた「カラン卿の短歌魔宮」という短歌の投稿コーナーがありました。

 短歌魔宮には「新聞掲載分(初出)」「サイト掲載分」「同人誌版」があります。
 同人誌版は、「カラン卿の短歌魔宮 オタク短歌入門」というタイトルで第二十三夜までまとめたものです。2005年12月発行。がっつりと注のついた労作です。

 p.50~p.51にかけて短歌魔宮の2005年7月29日掲載分(第十九夜)のテーマが「ボーイズラブ」でそれに関する記述があります。

 まず、p.50「全国紙の短歌の文芸欄」。

 このコーナーはアニメ、ゲーム、マンガ等を取り扱うPOPカルチャー面の中にありました(「ポップカルチャー面」と表記されることのほうが多いようですが同人誌版で採用されている表記に従います)。このコーナーのみ文芸欄という考え方はできるのかもしれないけど、いわゆる文化面と意味に取られる(村田さんがどういうつもりで書いたのかはともかく)可能性が高い書き方。
 あの連載の意味はむしろ「POPカルチャー面に短歌が」のほうではないのか(BL短歌から逸れるので深追いしません)。少なくとも新聞では「面」であり「文芸欄」という書き方は適切ではない。

 次に、p.51にある「BL短歌の特徴」として「どれも二次創作」という部分。これはおそらく「短歌魔宮におけるBL短歌」という意味と思われるのですが、これは危険な書き方。
 第十九夜は、「ボーイズラブ」で作品が募集されましたが、同人誌版で掲載された第十九夜のタイトルは「妄想だけじゃ共感は得られぬ! やおい短歌」という副題になっています。その上で「やおい」は二次創作をさすことが多いという意味の注がついています。
 同人誌版のタイトルからもわかるように、そもそもこの連載のテーマがオタク(が愛好する文化)であり、二次創作というのは第十九夜に投稿されたBL短歌のみならずこの連載に投稿された歌の大半があてはまります(また、そのことに自覚的でありました)。なので、歌を読み解いた上で「短歌魔宮に投稿されたBL短歌」の特徴としてあげるのは不適切と私は思います。もちろん歌の読解は必要なことですが、この指摘に関しては読むまでもないことなのでちがう書き方をされるべきだったと思います。

 村田さんが不明とした小野塚カホリさんの「ダブルコール」は同人誌版では「セルロイドパラダイス」に改められており、収録単行本も紹介されています。
 「ダブルコール」は当時連載中だった緋色れーいちさんの「DOUBLE CALL」ととりちがえた可能性があるのではないかしら?(ここは推測)

 短歌魔宮に関しての参考としてURLしかあげられていません。テーマが発表されてから〆切まで時間は限られていますから、初出や同人誌版にあたれとまでは言いません。しかし「初出や同人誌版ではちがいがあるかもしれない」というのは念頭に置いていただきたかったと思います。

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